バネホックやカシメ打ちを失敗したり、壊れてしまった時の対処方法をご紹介します。
「喰い切り(くいきり)」を使えば、安全、簡単に取り外せます!
バネホックを外すなら『喰い切り』
喰い切りという工具はご存じでしょうか?
主に針金や、ビスの切断に使われる工具なのですが、レザークラフトでバネホックやカシメを外す時にも役立ちます。
こちらが本記事で使っている「喰い切り」です。
バネホックやカシメの接合部(細い部分)を狙って切断できます。
また、ニッパーと違い先端が丸いので、革を傷つけずに金具を外すのに適した形状になっています。
喰い切りでのバネホックの外し方
それでは早速バネホックを外してみましょう!
バネ側の部品の外し方
喰い切りを噛ませるのは、こちらのバネ部品です。
まずは、このバネ部品をに喰い切りを噛ませます。
少しずつ喰い切りを握って締めていくと、バネが浮いてくるのが分かります。
接合部の細い部分が見えてきました!
ココがポイント
一気に力を入れて喰い切りを噛ませると、革に傷がつくことも。
少しずつ慎重に喰い切りを噛ませていこう!
バネが浮き、喰い切りが接合部を噛めていますね。
この状態で「グッ!グッ!」と2~3回喰い切りを握ってあげます。
すると、接合部が切れて、バネとアタマの部品が革から外れてくれます。
接合部の切断した部分がこちら。
この接合部が切れれば、バネホックは簡単に取ることができます。
ココがポイント
バネの対になる部品「アタマ」は固くて潰しにくい。
外す時はバネ側からやろう!
ホソ側の部品の外し方
それでは、ホソ側の部品も外してみましょう!
こちらはとても簡単で、ホソの出っ張りを狙って喰い切りを噛ませるだけです。ホソの形状により、革に喰い切りが触れずに作業できるので、革を傷つける心配もありません。
「グッ!グッ!」と2~3回ほど喰い切りを締めると・・・
喰い切りを使ったカシメの外し方
やり方はバネホックと変わりません。
ですが、カシメの場合は「アタマ」からの方が喰い切りを噛ませやすいです。
なぜなら、ホソの方は平らな形状になっていて、しっかり革に埋まっているからです。
ココがポイント
カシメの場合、ホソ側は革にピッタリ埋まり、喰い切りが入る余地がありません。
革と部品の間に隙間があるアタマを狙っていこう!
アタマを挟んで「グッ!グッ!」と握ります。
カシメも、綺麗に接合部を切り落とせました。
喰い切りの形状|綺麗に外せる理由
喰い切りの先端は、少し丸みを帯びています。
この丸みがあることにより、革を傷つけずに切り取ることが出来るようになっています。
ニッパーとは似て非なる工具
実は、ニッパーでもがんばれば外すことは可能です。
ただ、喰い切りと比べて、革に傷をつけやすいというリスクがあります。
ニッパーの特徴(喰い切りとの比較)
- 両側から均等に力が掛からない
- 先端が尖っているため革に傷をつけやすい
- 部品を押し潰すことが難しい
3つ目の、押し潰すことができるか、できないかがミソです。
喰い切りは、刃の両側で均等に押し潰すこともできる形状なので、「切る」+「潰す」ことが容易になっています。
つまり、部品を潰しつつ浮かせる事ができるのです。
先程バネ部品を外した時、少しずつ部品が浮いて、接合部の細い部分が見えてきましたよね?
一度で接合部の細い部分に刃が入らなくても、喰い切りは周りを潰しながら接合部を狙っていけるようになるのです。
ココがポイント
部品を浮かせることが出来る = 革を傷つけずにバネホックを取り外せる
これがニッパーとの大きな違いです。
これは試してみたのですが、全然いけました(笑)
ただ、少しやりにくかったです。ペンチ+ニッパーの感想がこちら。
ニッパー+ペンチで外す場合
- 喰い切りにように部品を浮かせるのは少し難しい
- ペンチが部品から滑って革を傷つけそうになった
- 接合部の切り取りが、喰い切りより難しい
部品を浮かせて接合部が見えるようにしたくて、部品の上っ面寄りにペンチで挟みました。
そのため、ペンチが滑って革にかすりました(汗)
ココに注意
ペンチで部品の中央をしっかり挟んでしまうと、上下方向に部品が潰れる。
すると、逆に接合部が隠れてしまうので注意!
うまく浮かせてしまえば、ニッパーも容易に接合部に届きます。
接合部に刃が届いてしまえば、あとはジャキジャキ切るだけです。
そもそもバネホック取り付けが失敗する理由
バネホックの取り付けがうまくいけば、基本的に取り外す必要もなくなりますよね。
バネホックの取り付けで失敗する原因は、主に以下の5つです。
バネホック取り付けを失敗する原因
- サイズの合った道具を使っていない
- ハトメ穴がサイズに合っていない
- まっすぐ打てていない
- 力加減が強すぎる
- 革の裏表を間違えてつけてしまう
例えば、バネホックを付ける時は、ハトメ穴のサイズが2種類必要ですよね。
例えばバネホック小サイズなら、ハトメ抜き8号と15号を使う、といった具合です。
これは、金具によって微妙に適合サイズも変わってくるので、良く確認が必要です。
バネホックやカシメの取り付けのコツは、以下の記事で紹介していますのでご参考ください。
革を傷つけたくない ⇒ 喰い切りを使おう!
革小物の修理などを請け負っていない限り、バネホックやカシメの取り外しをする機会はあまりないかもしれません。
ですが、完成間近の作品でバネホックを失敗した時などは、喰い切りが重宝します。
喰い切りを使うメリット
- 革を傷つけずに外せる
- 簡単に外せる(時短になる)
- 金具付けを失敗してもすぐリカバリーできる余裕が生まれる
革は傷つきやすい素材です。
絶対に革を傷つけたくない時は、喰い切りを使いましょう!