サイビノールとは、レザークラフトで良く使われる接着剤です。
白系のボンドではとてもメジャーで、教本などでも良く出てきます。
どんな接着剤を使うか迷ったら、とりあえずサイビノールを使えば間違いないでしょう。
この記事では、以下の内容についてご紹介していきます。
サイビノールのこと
- 特徴
- 用途
- サイビノール100と600の違い
どんな場面でサイビノールが必要なのかも気になるところかと思います。
そのあたりも、記事の後半でご紹介します。
サイビノールとは|特徴と使い方
サイビノールとは、酢ビ系の白いボンドのようなモノです。
匂いも見た目も、良くある水性ボンドと似ています。
使い方は簡単で、サイビノールを塗布し、貼り合わせて乾燥させるだけです。
メーカーが商品概要欄に記載している特徴や使用方法も見てみましょう。
使用法に『片面又は両面薄く均一にぬり・・・』とあります。
私の場合は、しっかり接着させたいので、両面に塗布することが多いですね。
さて、以上のことをふまえて、サイビノールの特徴をみてみましょう。
サイビノールの特徴
- 乾くまでは位置合わせが容易
- 乾くと半透明になる
- 強力な接着剤
乾くまでは位置合わせが容易
サイビノールが乾くまでは、貼り合わせたものを動かして調整することができます。
そのため、少しズレて貼ってしまった場合も位置調整が可能です。
これは、水性ボンドの手応えをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれませんね。
位置調整が出来るということは、一発勝負ではないため、失敗のリスクが低くなります。
例えば、革を貼り合わせる時は、コバをキッチリ揃えたいですよね。
キッチリ揃えるのは微調整が必要になるので、サイビノールが重宝します。
ただ、乾くと全く動かなくなるので、そこは時間との勝負になります。
もし、革が大きいなどにより、塗布に時間が掛かるのが分かっている場合は、革を湿らせましょう。
霧吹きなどで表面に少し水を掛けてあげるだけで、乾く時間を遅らせることも可能です。
(水の付け過ぎは、接着力が落ちるので注意)
それは、接着力の強いゴム系ボンドです。
これらは、いちど貼り合わせると、ほとんど動かすことができません。
接着力の強いゴム系ボンド
- ダイヤボンド
- G17ボンド
- スリーダイン など
ちなみに、クラフト社のゴムのりは、そもそもの用途が『仮止め』なので、接着力が弱い部類です。
そのため、革とファスナーはもちろん、革と革でも圧着する前なら位置調整が可能です。
ゴムのりの特徴や使い方が気になる方は、こちらをご参考ください。
【ゴムのり】の使い方&特徴|レザークラフトで必要になる場面とは?
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乾くと透明になる
これもゴム系ボンドとの違いになりますが、サイビノールは乾くと半透明になります。
半透明になるということは、もし作品の表面に出てしまっても目立たないということです。
こちらは、サイビノールを塗布した直後の写真。
数分置くと、このように乾いて半透明になります。
厚塗りだった部分も、まもなく半透明になりそうですね。
ゴム系ボンドの場合は、乾くと黄色っぽいボンドの塊になります。
そういうリスクを伴う部分には、サイビノールを使うのがおすすめです。
強力な接着剤
サイビノールは、しっかり使うと接着力がすごく強いです。
ただし、速乾性ではないので、完全に接着させるためには数十分の時間を要します。
サイビノールを塗布した後、接着したい部分を、クリップやヤットコで挟んであげます。
挟んだまま、20~30分経つと、手で引っ張っても剥がれないくらい接着してくれます。
※けっこう引っ張ってます。
絶対に剥がれて欲しくない部分には、接着力の強いサイビノールを使うのがおすすめです。
サイビノールが必要になる場面
特に、サイビノールを使った方が良いという場面を、2つご紹介します。
サイビノールが活きる場面
- ヘリ返しの接着
- 糸の始末
ヘリ返しの接着
ヘリ返しをする時、基本は最終的に縫い付けますが、剥がれてしまうと台無しです。
そのため、接着力が強力なサイビノールを用います。
ヘリ返しとは?
革の端(ヘリ)を反対側に折り曲げて納める手法。裏地を使う時に良く使われる。
【ヘリ返し前】
【サイビノール塗布】
【ヘリ返し後】
また、ヘリ返し部分は、作品の表面に出ていることが多いです。
そのため、乾いたら半透明になるサイビノールが推奨されます。
更に、ヘリ返しした部分は、綺麗にまっすぐでないと、格好悪くなってしまいますよね。
サイビノールなら乾くまで動かせるので、位置調整がやりやすいというメリットもあります。
サイビノールなら
- 強力なのでヘリが剥がれない
- 半透明になるので目立たない
- 位置も調整しやすい
また、「菊寄せ」をする場合も、ゴム系ボンドよりサイビノールがおすすめです。
糸の始末
糸の始末をする時、最後に糸を交差させて結び目を作りますよね。
その時に、交差する部分にサイビノールを付けて縛り付けると、より頑丈になります。
また、糸を切った部分にもサイビノールを付けておくと更に頑丈になります。
何かの拍子に糸の終端が外れてしまうこともあるので、それをサイビノールで防ぎます。
平縫いの糸の始末をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご参考ください。
ビニモを使う場合も、サイビノールで結び目を固めておくと安心です。
ライターで溶かす前に、糸が軽く解けかかるのを防ぐことが出来ます。
それ以外の用途
もちろん、この2つ以外にもサイビノールが使えるタイミングはあります。
サイビノールの使い道
- 革同士の接着
- 裏地、芯材の接着
例えば、コバ処理を綺麗にするのにも活きてきます。
接着をせずに、ただ2枚の革を縫い合わせた場合、コバが開いてしまい雑に見えてしまいます。
この時、サイビノールで接着をしておくと、コバに一体感が生まれて、見栄えが良くなります。
サイビノール100と600の違い
サイビノールには、「サイビノール100」と「サイビノール600」があります。
この二つの違いは、粘度の違いです。
明らかに変わるのは、水が含まれている割合です。
サイビノール100には水が49%含まれているのに対し、600の方は37.1%しか入っていません。
水分の量が低いサイビノール100の利点を見てみましょう。
サイビノール100のメリット
- 粘度が低く、伸ばしやすい
- 広範囲にも塗りやすい
- 乾くのが遅い(時間的余裕)
逆に、サイビノール600はねっとりするので広範囲には向きません。
でも、乾くのが早いしくっつきやすいので、菊寄せどの細かい部分に有効です。
感覚的には、600の方が良くある水性ボンドに近い粘度かなと思います。
どちらか迷ったら、とりあえず塗りやすいサイビノール100で良いと思います。
600は、早く乾いて欲しいなど、作業性を上げたいと思ったら用意すれば良いでしょう。
サイビノールとは『安心・便利』な接着剤
サイビノールは、塗りやすく強力で本当に使いやすい接着剤です。
サイビノールの利点
- 乾くまでは位置合わせが容易
- 乾くと半透明になる
- 強力な接着剤
レザークラフトは、意外と接着作業も必要なタイミングが多いです。
レザークラフト用に作られたサイビノールなら、安心して使うことができますよね。
しっかり蓋を締めておけば、固まらずに長持ちもしますよ。
ちなみに、サイズは80mlと150mlがありますが、150mlがおすすめです。
そういえば、強力なゴム系ボンドしか持ってないなぁ。
仮止め用のゴムのりがあれば良いと思ってた。
そんな中、もし接着作業に不便を感じていたら、ぜひサイビノールを使ってみてください。