菱ギリ(ひしぎり)は、ステッチを綺麗にすることができます。
ですが、ひし目打ちと違い扱いに少々コツが必要になるため、使い方で迷われる方も多い道具です。
この記事では、菱ギリの特徴や、失敗しない菱ギリの使い方をご紹介します。
菱ギリの使い方
菱ギリとは、その名の通り、ひし形の穴を開けることができるキリのこと。
写真のように、ひとつひとつ革にひし形の穴を開けることが出来ます。
レザークラフトの縫製は、菱型の縫い穴を開ける必要がありますから、この菱ギリが重宝します。
しかし、連続した穴を一気に開けられる菱目打ちよりも、少し難易度が高い道具でもあります。
菱ギリのメリットや特徴
では、菱ギリは具体的にどのように役立つのでしょうか。
まずは、菱ギリのメリットと特徴(難易度が高い理由)を見てみましょう。
菱ギリを使うメリット
菱ギリを使うメリット
- ひし目を綺麗に開けられる
- ステッチ(縫い目)が綺麗になる
- 穴の裏側がデコボコしない
- 穴と穴の感覚を自由に決められる
- 菱目の向きを自由に決められる
- 穴の大きさが表と裏で一定になる
- 糸が通りやすくなり、縫いやすい
- 穴を開ける時に音が出ない
中でも、ひし目が綺麗になることと、ステッチが綺麗になることが、菱ギリを使いたくなる一番の理由になるかと思います。
実際、レザークラフトが上手な人ほど菱ギリを使う傾向にあります。
それはやはり、使うと作品が綺麗になると実感しているからに他なりません。
ですがその反面、菱ギリは少し扱いが難しい道具でもあります。
菱ギリの使い方【特徴】
菱ギリを使う場合、以下の事を意識する必要があります。
菱ギリ使用時に気を付けること
- 穴と穴の間隔を一定にする
- 穴の角度を一定にする
- 穴のサイズを一定にする
一つ一つ、菱目を自分の感覚を頼りに開けていくので、菱目打ちよりも難易度がグッと上がります。
うまく穴を開けることができないと、逆にひし目やステッチが乱れ、作品のクオリティが落ちる原因にもなってしまいます。
穴と穴の間隔も、穴の向きも、穴のサイズもバラバラになってしまったら・・・絶対に良い作品は出来ませんよね?
そこでご紹介するのが、失敗しない菱ギリの使い方です。
失敗しない菱ギリの使い方
これは実際に私がやっていた菱ギリの使い方なのですが、作品のクオリティを上げつつ、使い始めの練習にもなります。
やり方は単純で、ひし目打ちを打った後に、仕上げで菱ギリを使うという方法です。
この方法がなぜ失敗しないかというと、穴の位置、角度、サイズが全て決まっているからです。
失敗しない理由
- 穴の間隔はひし目打ちの通りにやる
- 穴の角度はひし目打ちの通りにやる
- 穴のサイズはひし目打ちの通りにやる
菱目打ちの穴を頼りに菱ギリで刺していくだけなので、失敗するリスクがほぼ0になります。
ステッチが綺麗になる
練習法と言ってはいますが、本番の作品を仕上げる時にこの方法を使っていました。
これにより、「菱ギリを使うと明らかにステッチが良くなると」実感しながら練習できます。
「ひたすら菱ギリで穴を開ける!」という練習も悪くはないと思うのですが、闇雲に穴を開けて感覚が身につかないのがイヤだったので、作品(ある意味本番)に使うことで集中してコツを習得できるようにしたという意図があります。
ココがポイント
練習になるように、穴同士の距離、角度、大きさは意識しながら菱ギリを使おう!
ただ単に菱目打ちの穴を追っかけで刺すだけですが、穴によって感じる手応えにムラがあることがわかり、「実は菱目打ちで開けた穴が一定ではない」という実感を得られます。
それではここで、菱ギリと菱目打ちで開けた穴の違いを見てみましょう。
菱ギリと菱目打ち【穴の比較】
こちらの写真は、上の列が菱ギリで開けた穴、下が菱目打ちで開けた穴です。
菱ギリの方が多少きれいな菱型になっているように見えますが、大きな違いはありません。
次に裏面を見てみましょう。
菱目打ちで開けた穴は、少しムラがあるのが分かるでしょうか。
右の方の穴は小さく、左の方の穴が大きく見えると思います。
このムラが、ステッチが乱れる原因!
練習法を実践後【穴の比較】
これに対して、先程紹介した練習法の通り、菱目打ちで開けた穴に菱ギリを突いていくとどうなるか見てみましょう。
まず、こちらは表面です。
先程より、菱目打ちの穴が綺麗な菱型になりましたね。
次に裏側を見てみます。
菱目打ちで開けた方の穴のムラが、先程より均一になっているのがわかるでしょうか?
菱目打ちで開けた穴を菱ギリで突いていく際に、穴が小さかったところと、穴が大きかったところの手応えが違います。
そのため、この練習法でひとつひとつ同じサイズの穴にする感覚を養えることができ、菱ギリのコツを習得する近道になったという実感があります。
そもそも、菱目打ちが均等に打てていればステッチが乱れることも無いですが、なかなか難しいことかと思います。
菱ギリを刺すことで、菱目打ちの穴が均等に開けられていなかったと分かることも、技術の向上には大事なことで、その気付きを得られるのもポイントの一つです。
【まとめ】菱ギリ おすすめの使い方
とても単純な方法で拍子抜けだったかもしれませんが、菱ギリ習得までのおすすめの使い方です。
本記事の練習法のメリット
- 菱目打ちの穴のムラに気付ける
- 穴が均等になり、作品が綺麗になる
- 革を均等に切り開く感覚を養える
- 失敗のリスクが無い
もちろん、すでに穴が開いているところを刺していくだけなので、本当の意味で菱ギリで穴を開ける感覚とは違います。
このやり方は、第一段階の練習方法として受け止めてもらえればと思います。
綺麗なステッチのために、菱ギリに挑戦してみましょう。
以下の記事でも、菱目を綺麗に開ける方法を紹介していますのでご参考ください。