革の接着をするのに、ゴムのりとサイビノール、どちらを使うべきか迷っていませんか?
2つとも、レザークラフト用品メーカーで著名なクラフト社の接着剤ですから、良く目にしますし、どういう違いがあるのか気になりますよね。
この記事では、ゴムのりとサイビノールの、性能と用途についてまとめています。
それぞれの特性を理解し、必要な接着剤を手に入れましょう。
ゴムのりとサイビノール【性質の違い】
まず、ゴムのりはゴム系接着剤で、サイビノールは酢ビ系接着剤です。
接着剤の種類としても明確に分けられていますが、比較すると、このような違いがあります。
比較対象 | ゴムのり | サイビノール |
種類 | ゴム系接着剤 | 酢ビ系接着剤 |
粘着力 | 低い | 高い |
用途 | 仮止め用 | 本止め用 |
乾いた後の色 | 黄色っぽい | 半透明 |
乾くスピード | 早い | 普通 |
塗りやすさ | 塗りやすい | 塗りやすい |
におい | 多少ツンとする | 良くある水性ボンドに近い |
太字の3項目は、特に重要です。
なぜ重要かというと、作品の出来栄えに影響するからです。
ゴムのりとサイビノール、それぞれの詳細がもっと知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
違い①【作品に影響するモノ】
重要な違い3項目
- 粘着力
- 乾いた後の色
- 用途(仮止め or 本止め)
上記の3項目は、どちらの接着剤を使うべきか迷った時の判断材料としては、最も重要になります。
粘着力
まず、ゴムのりはもともと仮止め用なので、粘着力が低くなっています。
実は、商品概要欄にも「接着力が弱く、仮止めに適している」と記載しています。
ただし、粘着力が低いと言っても、しっかり接着することも可能です。
しっかり圧着すれば、手で引っ張っても容易には剥がれない強度を出すこともできます。
このように、ゴムのりの接着力もなかなかです。
ただ接着力に関しては、やはりサイビノールの方が強力です。
ゴムのりの用途は「本止め」ではないということを覚えておこう!
乾いた後の色
接着剤が乾いた後、どんな色になるかはとっても重要ですよね。
※色が分かりやすいように、両方とも少し厚めに塗布しています。
サイビノールの方は半透明になっているので、ほとんど塗った後が分かりませんね。
ですが、ゴムのりの方は多少黄色くなっているのが分かるかと思います。
作品の目につくところに、黄色い固まりが出ていたらどうでしょうか?
出来栄えは大きく変わりますよね。
つまり、目につきやすい部分の接着には、サイビノールが適していると考えれば良いでしょう。
違い②【作業性に関するモノ】
さて、残りの比較項目についても、もう少し詳細に触れておきましょう。
作業性に関する違い
- 乾くスピード
- 塗りやすさ
- 匂い
乾くスピード
これは、ゴムのりの方が明らかに早いです。
そもそも、ゴムのりは乾いてから接着するものなので、早く乾いてくれるから作業性も良いです。
逆に、サイビノールは乾く前に接着するものです。
乾く前であれば多少の位置調整も可能です。
乾くまで猶予があるので、特に微調整が必要なヘリ返しや菊寄せの時に重宝します。
一応の比較項目として「乾くスピード」を出しましたが、上記の通りそもそも特性が違うので、比較するのも変かもしれません(^_^;)。
でも、どちらも用途に合わせて、使いやすいように作られているのが分かりますよね。
塗りやすさ
正直、塗りやすさはあまり変わりません。
塗る時の手応えは多少違いますが、どちらも塗りやすくて使いやすいです。
強いて言えば、サイビノールの方が乾くのが遅いので、多少伸ばしやすいかな?という位です。
とはいえ、どちらの接着剤を使うか選ぶ時に、あまり気にする必要はないでしょう。
匂い
ゴムのりの方は、多少ツンとした匂いがします。
そんなに刺激臭ではないのですが、苦手な人は苦手かもしれません。
参考になるかは分かりませんが、家の中で使う時は換気扇をまわすようにしています。
サイビノールは、良くある木工用ボンドとか、水性ボンドとかの匂いに限りなく近いです。
刺激臭はないので、匂いが気になる方も安心です。
ゴムのりとサイビノール【価格の違い】
これは大して変わりませんが、どちらかというとゴムのりの方が割安です。
100mlあたりの金額
- ゴムのり = 270円
- サイビノール = 320円
※金額は、定価の税別で計算した場合
ご覧の通り、価格の差は微々たるものです。
ですので、どちらかを選ぶ時は、使い道を考えて決めることをおすすめします。
【まとめ】ゴムのりとサイビノールの選び方
ここまでご紹介してきた通り、ゴムのりもサイビノールも用途が違うことが分かりました。
それぞれの接着剤の主な使い道をまとめましたので、選ぶ時の参考にしてみてください。
主な使い道【ゴムのり】
ゴムのりの主な用途
- 裏貼り(革同士の接着)
- 芯材の貼り付け
- ファスナーの仮止め
- 型紙(用紙の貼り付け)
ゴムのりの接着力は弱めなので、最終的に必ず縫い付ける箇所に使用しましょう。
また、水分が少ないので、型紙作成用のコピー用紙に塗る場合も、ふやけないので活躍します。
主な使い道【サイビノール】
サイビノールの主な用途
- ヘリ返しの接着
- 糸の始末
- 裏地の貼り付け
糸の始末で使用する接着剤は、目につきやすいので、半透明になるサイビノールを使いましょう。
特に、ヘリ返し部分は目につきやすい上に微調整が必要なので、サイビノールがおすすめです。
余談:接着剤同士の干渉はNG
例えば、ゴムのりが付着している部分にサイビノールを塗ると、接着力が著しく低下します。
理由は、革の繊維がゴムのりで蓋をされ、サイビノールが浸透しなくなってしまうからです。
サイビノールで裏地を貼った革に、別の革をゴムのりで仮止めするシーンなどで意識が必要です。
両方の接着剤を使い分ける際は、それぞれの接着剤が干渉しないようにしましょう。
以上、ゴムのりとサイビノールの違いについてご紹介しました。