レザークラフトを始めると、『フチ捻(ねん)』や『ネジ捻』という言葉を良く耳にしますよね。
ネジ捻っていうのもあるけど、どっちが良いのかな?
フチ捻とは、革に『捻引き』を施すための道具になります。
本記事では、フチ捻の使い方や、捻引きの効果を解説していきます。
こんな方におすすめの記事です
- フチ捻について詳しく知りたい
- フチ捻【1mm】と【2mm】の比較を見たい
- フチ捻とネジ捻、何が違うのか知りたい
フチ捻のおすすめサイズや、ネジ捻との比較についてもご紹介していきますね。
フチ捻の具体的な使い方を知りたい方は、こちらをご参考ください。
フチ捻とは『捻引き』に使う道具
さて、フチ捻とは、革に「捻引き(ねんびき)」をするための道具でしたよね。
「捻引き」とは、熱したフチ捻をコバに沿って引いていき、革に溝を入れることを言います。
捻引きをするとどうなる?
- コバが引き締まる
- コバに沿って溝ラインが入る
- 作品の見た目・クオリティが上がる
フチ捻で捻引き|ビフォーアフター
捻引きをしていない革と、捻引きした革を比較してみましょう。
下の写真は、捻引きをする前の革です。
捻引きしたものがこちら。
2つの革の右のコバだけに対して捻引きしたので、溝が入っているのが分かります。
溝の部分をアップにすると、こんな感じです。
メリハリが出て、これから作品になるぞ!って感じが漂ってきませんか?
良くお財布のカード入れの部分などで、捻引きされているのを見かけますね。
もちろんカード入れの部分に使うだけでなく、あるゆる場面でコバを引き締めるのに使えます。
フチ捻の先端の形状を詳しく観察
フチ捻の先端はこんな形をしています。
こちらは更に拡大した写真です。
フチ捻の形状別の用途
- 内側の山=革に溝を入れる部分
- 外側の山=コバの側面に沿う部分
- 谷の部分=コバの角を丸くするため
外側の山をコバの側面に当て、ズレないように溝を引いていける形状になっています。
そのため、コバに引っ掛かける分、外側の方がすこし山が高くなっているのです。
なんでこんな形状なの?
フチ捻は先端が弧を描いていて、一見どう使うのかわからないですよね。
もちろん使いやすさを考慮してこの形状になっているわけですので、その理由を見ていきましょう。
革の表面に引っ掛からない
この形状の利点の一つ目は、捻引きの時に革に引っ掛からないようになっていることです。
もし、この先端が弧を描いておらず、真っすぐだったとしたらどうでしょう?
フチ捻の端でガリガリと角で革を削ってしまうかもしれませんよね。
捻引きの始点がキメやすい
利点の二つ目は、捻引きの始点の部分にもきちんと力をかけることができること。
弧の先端部分をグッと押し付けることで、始点にもしっかり溝を作ることができます。
捻引きの終点がキメやすい
3つ目の利点は、終点がキメやすいことです。
始点と同じ要領ですが、終点の部分にも力をかけやすいので、終点もしっかり溝が作れるようになっています。
これらの使い勝手を考慮して、フチ捻はこの形状に落ち着いたのではないかと思います。
フチ捻が全部この形という訳ではありませんが、形状の特徴を抑えておくのは大事です。
上記のように、形状を活かした捻引きが出来るようになり、使いやすくなると思います。
フチ捻のサイズは何ミリがおすすめ?
フチ捻は、1mm~2.5mmのサイズが多く扱われています。
1mm幅のフチ捻と、2mm幅のフチ捻で捻引きしたモノを比較して見てみましょう。
左の革が1mm、右の革が2mmのフチ捻で、捻引きしたものです。
フチ捻のサイズは好みですので、良いなと思った方に近いサイズを使うと良いでしょう。
あくまで私の好みで言うと、1mm幅だと今一つ主張にかける気がします。
ただ、逆に主張させたくない時もあるので、1mmと2mmを1本ずつ持っています。
ネジ捻とフチ捻の違い
フチ捻、ネジ捻、玉捻・・・。
ここでは、フチ捻とネジ捻の違いについて詳しく見ていきましょう。
【フチ捻】
【ネジ捻】
実は、少し性能や用途が違ってきますので、比較して見てみましょう。
フチ捻とネジ捻の性能比較
フチ捻もネジ捻も捻引きができる道具ですが、以下のように違いがあります。
フチ捻 | ネジ捻 | |
コバを丸く引き締められる | 〇 | ✖ |
終点がキメやすい | 〇 | ✖ |
先端の幅を変えられる | ✖ | 〇 |
ネジ捻の場合、ネジを回すことで先端の幅を自在に変えることが可能です。
つまり、コバの位置から、捻引きで溝を入れるまでの距離を調整することができるのです。
コバから溝を入れるまでの距離を1mmにしたい時や、2mmにしたい時があります。
ネジ捻は1本あれば、全ての状況に対応できるのが最大の利点です。
逆に、フチ捻の場合は、1mm幅のモノ、2mm幅のモノとそれぞれ別で存在します。
そのため、多様な距離に対応するためには、何種類もフチ捻を持つ必要があります。
さて、フチ捻とネジ捻について、両方ともそれぞれ利点があることがわかりました。
もしどちらか一方を選ぶのであれば、以下を参考にしてみてください。
フチ捻
- コバを丸く成形しつつ捻引きできる
- いつでも均等な距離で捻引きできる
ネジ捻
- 主にひし目打ちのライン引きに使う
- 捻引きも出来る
フチ捻は捻引き専用道具で、ネジ捻は汎用性のある道具、という捉え方で問題ないでしょう。
ネジ捻に対してネガティブな意見があるとすれば、使い込むとネジの部分が擦り減って劣化し、線がブレることがある、ということです。
ココがポイント
ネジ捻は、定期的に買いなおすことも考慮しておきましょう。
余談:ネジ捻はディバイダーとも違う
ディバイダーという道具があり、ネジ捻と同様、ひし目打ちを打つライン取りに使われます。
しかも、ネジを回して距離を変えられるところも同じなのですが、これもまた似て非なる道具です。
ネジ捻とディバイダーの違い
- ネジ捻 = 革に溝を入れてラインを引く
- ディバイダー = 革に傷をつけてラインを引く
ネジ捻は革を潰して溝を入れますが、ディバイダーは革を切ってラインを引く、という点が大きな違いになります。
ディバイダーの方が先端が鋭利で尖っているので、カーブの部分など細かい取りまわしがしやすいのが利点となります。
フチ捻の用途と特徴【まとめ】
フチ捻の特徴
- コバを丸く成形できる!
- 溝で作品が引き締まって見える!
- 1mm幅&2mm幅がおすすめ!
私は、捻引きについて調べている時に、フチ捻とネジ捻どちらを買うかかなり迷いました。
ネジ捻とフチ捻、どちらを選ぶかは好みですが、悩んだ結果、私はフチ捻の1mmと2mmを一本ずつと、ディバイダーを購入しました。
不便はしてないので自分としては正解だったと思います。
この記事が、捻引き道具を選ぶ時の参考になれば幸いです。
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