始め方・基礎知識

レザークラフトの『菱目打ち』とは?|【用途】&【基本的な使い方】

菱目打ちとは?初心者向けに用途や使用方法を紹介

レザークラフトでは、菱目打ち(ひしめうち)という道具を使用して、縫うための穴を開けます。

うさぎ三世
革は丈夫で硬いから、穴を開けてから縫うよ!

 

また、菱目打ちには『目数』といって、刃の数が1本だったり4本のモノがあったります。

状況に応じた目数の菱目打ちを使うことで、一つの革小物を作り上げることになります。

本記事では、菱目打ちの使い方と目数ごとの用途についてご紹介していきます。


菱目打ちとは『縫い穴』を作る道具

冒頭でも紹介しましたが、菱目打ちとは、縫うための穴を開ける道具です。

その名の通り、菱型の穴を開けることができます。

菱目打ちで開けた菱目

 

革は、繊維が緻密で、意外に思えるほど丈夫に出来ているので、そのままでは縫い針は通りません。

そのため、手縫いで縫い作業をする場合は、この菱目が絶対に必要になるのです。

この菱目に糸を通し、革を縫い合わせていくのがレザークラフトの基本です。

 

菱目打ちの先端の形状は、このように菱型になっています。

菱目打ちの先端の形状

尖ってはいますが、触ってケガをするほど鋭利にはなっていません

うさぎ三世
鋭利じゃないのに、どうやって穴を開けるの?

 

穴の空け方については、次の菱目打ちの使い方でご紹介していきますね。


菱目打ちの使い方&必要な道具

菱目打ちで革に穴を開けていくには、以下の道具を使用します。

菱目打ちに必要な道具

  • 菱目打ち
  • ゴム板
  • ハンマー

参考までに、この記事では、以下の菱目打ちを使用しています。

 

菱目打ちのやり方ですが、このように革に垂直に構えて、ハンマーで叩きます

菱目打ちの打ち方①

革は意外と硬いので、1発叩いただけでは穴は空きません。

適度な力で、数回ほどハンマーを打ちおろして菱目を開ける。これを繰り返していきます。

菱目打ちの打ち方②

 

この時、下敷きとしてゴム板(硬めのゴムで出来た板)を使用しています。

刃先が革を貫通した後に適度にゴム板にめり込むので、刃先を痛めずに使用することができます

使用したゴム板の状態

この写真で、少しでも質感が伝われば幸いです。

うさぎ三世
貫通した刃先がゴム板にめり込んだ跡がたくさん残ってるんだねー。

 

菱目打ちの刃先が、少し貫通する位が適切な打ち込みになるので、下敷きは必要ですよ。

ホームセンターで売っているゴムの板は柔らか過ぎる物もあるので、硬いゴム板を選びましょう。

うさぎ三世
適度に硬いレザークラフト用のゴム板が良いんだね!

菱目打ちの『目数』|具体的な使用例

菱目打ちには、刃先が1本になっているものや、2本以上あるものがあります。

この刃先の数を『目数』と呼びます。

また、刃先が1本の菱目打ちは1本目2本のモノは2本目と呼ばれます。

 

当たり前ですが、4本目の菱目打ちを打ち込めば、一度に4つの菱目を開けることが出来ます。

うさぎ三世
ふむふむ。

じゃあ目数が多い菱目打ちの方が、ドンドン穴を開けられてラクそうだね!

 

ところが、そうではありません。

刃先が1本のモノにも、2本のモノにも、それぞれ明確な役割があるのです。

それぞれの目数の、具体的な使用例を見ていきましょう。


『4本目』の菱目打ち【使用例】

使い方が一番単純な、4本目の菱目打ちの使い方からご紹介します。

まず、4本目の菱目打ちの特徴を見てみましょう。

4本目の特徴

  • 等間隔の菱目が開けられる
  • まっすぐ菱目を開けられる
  • 一度で菱目を量産できる

上記の通り、まっすぐで等間隔に揃った綺麗な菱目を、連続で開けるための菱目打ちです。

4本目と言っていますが、5本目だったり、10本目の菱目打ちもあります。

それら4本目以上の菱目打ちの使い方は、どの目数でも同じ用途だと覚えておきましょう。

 

具体的な使い方ですが、以下のように長い直線に対して、菱目を開ける時に使用します。

4本目以上の菱目打ちの使い方は【直線】

刃先の始点と終点の位置に気を付ければ、まっすぐ綺麗な穴を並べることができますよね。

 

更に直線を伸ばす時は、先に開けた穴に、1~2目ほど刃先を重ねた上で打ち込みます

菱目打ち【直線の打ち方】

こうすることで、等間隔でまっすぐな菱目を量産することができるのです。

うさぎ三世
もしこれを1本目で地道にやろうとすると・・・

 

1本目でやるとすると、打ち込む位置が多少ズレたりして、穴が等間隔ではなくなります。

また、菱目打ちを構える角度がズレたら、穴も曲がってしまいますよね。

 

分かりやすい比較できるように、ガイドラインからズレたり、角度が違う菱目を開けてみました。

1本目で直線を打った時の例

 

このように菱目がズレてしまっていると、縫い目もガタガタになり、かなり見栄えが悪くなります。

1本目で開けた直線の菱目を縫った時の例

頑張れば、1本目でも綺麗に連続した菱目を開けることもできると思いますが、時間も掛かります

10本目なら1回の打ち付けで済むところを、1本目では10回やる必要があり、手間ですよね。

うさぎ三世
うーん。1本目で全ての菱目を開けてくのは現実的じゃないね。

 

4本目以上の菱目打ちは『直線』を綺麗に開けることができる!


『2本目』の菱目打ち【使用例】

では次に、2本目の菱目打ちの使い方です。

2本目の特徴

  • 曲線にも対応できる
  • 縫い穴の辻褄合わせ

 

先ほどの、4本目以上の菱目打ちでは、曲線を作ることはできません

ですが、この2本目であれば、このように曲線に沿った菱目を開けることが出来ます。

菱目打ち【曲線の打ち方】

これは極端な曲線ですが、角を丸くしたお財布などの菱目を開ける時にも便利です。

私も、角の部分に菱目を開ける時には、ほとんどこの2本目を使用して開けています。

 

参考用に、以前に作ったこの『直線が一切ないマウスパッド』もご紹介します。

こちらは、全て2本目の菱目打ちで開けています。

マウスパッドの作り方

曲線が打てるようになると、デザイン力も上がってきますので、2本目はとても重要です。

うさぎ三世
打つ角度を変えれば、曲線具合も自由に調整できるんだね!

 

もう一つの利点として、縫い穴の辻褄合わせにも使用することが出来ます。

縫い穴を開けていくと、以下のように、等間隔では開けられない時があります。

菱目の辻褄を合わせる方法①

上の写真では、終点の位置が、開けてきた菱目の間隔と合わないケースです。

 

そんな時は、2本目を使ってズレを均等にします。

まず、終点に菱目打ちの刃先をかけながら、軽く「あたり」を付けます。

菱目の辻褄を合わせる方法②

「あたり」を付けた部分には、分かりやすく色を付けることにしますね。

 

今付けた「あたり」に刃先を掛けて、次の「あたり」を付けます。

菱目の辻褄を合わせる方法③

 

次に、反対側からも「あたり」を付けますが、分かりやすいように色を変えます。

菱目に刃先をかけて「あたり」を付けます。

菱目の辻褄を合わせる方法④

 

今付けた「あたり」に刃先をかけ、もうひとつ「あたり」を付けます。

菱目の辻褄を合わせる方法⑤

 

4箇所付けた「あたり」を見てみると、どれも重なってないのが分かりますね。

この「あたり」と「あたり」の間が、等間隔で穴を開ける位置になります。

菱目の辻褄を合わせる方法⑥

最終的に穴を開けるのは、次で説明する1本目の役割です。

 

2本目の菱目打ちは、ゆるやかな曲線の菱目を作れる。

また、辻褄合わせの「あたり」を付けるのに便利!


『1本目』の菱目打ち【使用例】

では、1本目の使い方と特徴です。

1本目の特徴

  • 辻褄合わせの仕上げ
  • 細かい曲線にも対応

 

先ほど、2本目を使った終点との辻褄合わせは、この1本目で仕上げます。

菱目の辻褄を合わせる方法⑦

こうすることで、完全な等間隔で開けられなかった菱目も、極力目立たないようになります。

 

あとは曲線への対応ですが、2本目よりも細かい曲線に対応できます。

例えば、このような直角に近い角でも、曲線に対応した菱目を開けることが出来ます

角の菱目の角度を1本目で調整した部分
うさぎ三世
なるほど!角の菱目の角度を少し変えてるんだね!

 

1本目の菱目打ちは、微調整をするために使用される。

辻褄合わせの仕上げと、急な曲線の対応に便利!


縫い穴はどうして菱目なのか

うさぎ三世
ちょっと気になってたんだけど、そもそもなんで菱型の穴なのかな?

 

レザークラフトの縫い穴が菱型になっている理由は、いくつか考えられます。

縫い穴が菱型な理由

  • 縫い目の見栄えが良くなる
  • 縫いやすい
  • 縫った後に穴が目立ちにくい

 

最初に見栄えの話になりますが、菱目に沿って縫っていくと、このような見た目になります。

菱目に平縫いをした時の見本

「この斜めのステッチが好き!」という人も結構いらっしゃるかと思います。

うさぎ三世
ふんふん。菱形に沿って糸が掛かるから、縫い目が少し斜めになるんだね。

 

縫いやすいという理由についてはどうでしょう。

まず、レザークラフトでは、平縫いと呼ばれる2本の針を使った縫い方が基本です。

平縫いは、1つの穴に2回針と糸を通す縫い方になります。

 

そのため、2本目を通す時には、菱目の鋭角の部分に1本目の糸を寄せることができるので、2本目が通しやすくなっています。

レザークラフトで菱目に糸を縫う時のコツ2

この辺りは、実際に縫ってみると実感できるかと思います。

 

平縫いのやり方について調べる時は、こちらの記事を参考にしてみてください。

 

でも、レザークラフトで開ける縫い穴は、必ずしも菱型とは限りません。

まん丸の穴だったり、ヨーロッパ目打ちという細い斜めの線のような穴を使う人もいます。

この場合、菱目の時と縫った時の見た目も変わるので、どれを使うかはその人のセンス・好みです。

うさぎ三世
その中で、菱型の穴が一番ポピュラーってことなんだね。

【まとめ】菱目打ちの使い方

菱目打ちの使い方や、目数ごとの用途についてご紹介しました。

うさぎ三世
菱目打ちを使うイメージが湧いてきたかも!

 

まとめ

  • 菱目打ちは縫い穴を開ける道具
  • ゴム板とハンマーがあればOK
  • 目数ごとに用途が違う
  • 1本・2本・4本目は揃えたい

 

ひとつの革小物を作るにも、曲線や辻褄合わせ、長い直線など色々な場面があります。

1本・2本・4本目以上の菱目打ちは、最低限そろえておきたいところです。

 

菱目打ちには、ピッチと呼ばれる穴同士の距離や、刃幅の大きさも様々あります。

1本ずつ購入する場合は、ピッチや刃幅がバラバラにならないように気を付けましょう。

うさぎ三世
調べてみたけど、ピッチが何mmとか、良く分からなかった!!

 

そんな時は、この記事も参考にしてみてください。

 

また、以下のようなセット品なら、サイズがバラバラになることも無いので安心ですよ。

 

菱目打ちの作業自体は難しくないので、レザークラフトをやったことが無くても大丈夫です。

革に穴を開ける時『レザークラフトをしてる』という実感を得られて、とても楽しめる作業ですよ。

うさぎ三世
やり方が分かると、早くやってみたくなるね!

 

ここまで読んでいただき、有難うございました。

レザークラフトは奥が深くて楽しいので、ぜひ初めてみてくださいね。

 

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