そんな時におすすめなのが『バスコ』です。
サッと塗るだけで染色でき、乾きも早いと、定評のあるアイテムです。
本記事では、バスコの特徴と使い方をご紹介しています。
染色を覚えると、色使いやデザインにも幅が出るので、ぜひ試してみてください。
革のコバ仕上げ剤『バスコ』の特徴
バスコは協進エルの『コバ用仕上げ剤』です。
※コロンブス社のサーマルコートSを調色したものらしいです。
色は全部で11種類(無色含む)有り、染色しながらコバを仕上げることが出来ます。
コバコートとバスコの違い
例えば、こちらのクラフト社の『コバコート』も似たような見た目で、同じものに見えますよね。
しかし、コバコートとバスコは大きく違う点があります。
コバコートとバスコの違い
- コバコート=着色シリコンをコバに乗せる
- バスコ=液体でコバを染色する
ざっくり言うとこんな違いです。
コバコートで仕上げたコバは、触り心地も見た目も完全にシリコンです。
バスコはというと、革に染み込ませて染色させるので、比較的革らしさが残る仕上がりになります。
バスコの特徴
バスコの特徴はこんな感じです。
バスコのメリット
- 塗りやすい容器
- 簡単で使いやすい
- 乾きが早い
バスコは塗る道具いらず
バスコの容器は、良く見るのりの容器ですよね。
のりを使う時と同じように、このままコバに塗布することができます。
コバを仕上げる際の、トコノールなどを塗布する時はどのようにしているでしょうか?
一度手に付けてから塗ったり、綿棒で塗布している方も多いと思います。
バスコなら、このまま手も道具も使わずに塗布できるので、作業性が良いのはメリットですよね。
綺麗に塗るための加減は覚える必要がありますが、慣れるととても便利です。
バスコは乾くが早い
使う染料によっては、長いモノでは乾くまでに半日かかってしまうということもあります。
しかし、それでは染める度に作業が止まってしまいますよね。
乾くのが遅いと・・・
- 乾かすためのスペース確保
- 触らないように気を遣う
- 繰り返しの塗布に時間掛かる
万が一触ってしまった場合は、綺麗に仕上がらないので、もう一度やり直しです。
乾くまでの時間が長いと、そのリスクがどうしても高くなってしまいますね。
その点、バスコなら塗ってから数分もすれば乾くので、どんどん作業を進めることができます。
バスコは『バスコ 目止め液』と一緒に使う
手順紹介の前に、もうひとつお伝えしておくことがあります。
それは、『バスコ』を使う時は、『バスコ 目止め液』も一緒に使うということです。
『バスコ 目止め液』は、『バスコ』を綺麗に塗るためのモノです。
製品の見た目が全く同じのり容器なので混乱しますが、染料の入った『バスコ』とは別物です。
この目止め液を塗ってコバを磨くと、コバが平滑に近い状態になります。
そこに『バスコ』で色を乗せてあげると、平らで綺麗な見た目になる、という効果があります。
更に、『バスコ』の定着度も上がるので、色落ちしにくくなるという効果も期待できます。
バスコの使い方|手順&コツ
では、実際にバスコを塗ってみましょう。
効果が分かりやすいように、生成りの革のコバに、紺色のバスコを塗って染色します。
※コバには、やすり掛け&ヘリ落としを施してあります。
綺麗に染色するには、綺麗なコバ処理が必要です。
ヘリ落としや、やすり掛けなどのコバ処理方法は、こちらの記事をご参考ください。
バスコの効果が分かりやすいかと思ってこの組み合わせを選びましたが・・・あまり使う組み合わせではありませんね(^_^;)
バスコも目止め液も、良く撹拌して使いましょう。
step
1バスコ 目止め液を塗る
最初に、コバに目止め液を塗布し、指もしくは布で軽く撫でます。
革の繊維に目止め液を浸透させることが目的です。
塗布した量が少なくて、あまり浸透してないと思ったら、もう一度繰り返しましょう。
ココがポイント
もう一度目止め液を塗る場合
浸透したら、余分な目止め液は軽く拭きとっておきます。
どんなことにも言えますが、下地を綺麗にするだけ、仕上がりも綺麗になります。
ある意味、この作業が一番大事なので、しっかり目止め液を塗っておきましょう。
step
2バスコを塗る
目止め液が半乾きくらいになったら、『バスコ』を塗布していきます。
目止め液が乾いてしまうと、『バスコ』を上に乗せる形になってしまいます。
定着度を高めるために、目止め液と結合させるつもりでスピーディーに塗りましょう。
ちなみに、乾くまでの時間は、トコノールやトコフィニッシュとあまり変わりません。
バスコを綺麗に塗るコツ
ノズルを押し付けず、コバに沿って優しくなぞるだけ。
容器を押して液体を出すと、塗り過ぎや、はみ出す原因になるので注意!
ノズルを使って均等に塗るのが難しければ、『バスコ』を布に染み込ませながら塗ると良いです。
布は、綿100%のいらないTシャツなどでもOKですよ。
step
3乾かす
塗り終わったら乾かします。
バスコなら、数分ほど(この時は3分)で手に付かない程度まで乾きます。
乾いたら完了です!
このザラザラは、下地の革の繊維が作り出してしまっているものです。
仕上がりに納得がいかない場合は、ほんのりやすりを掛けた後に、上記の手順を繰り返しましょう。
こちらは、手順を2回繰り返した状態です。
先程よりも、表面がツルっとしているように見えるかと思います。
もう1回くらいやれば、綺麗な仕上がりになりそうですね。
本来、目止め液を塗布したタイミングで、コバを磨くとこのケバケバは抑えられます。
ただ、あまりツルツルに磨いてしまうと、バスコの定着に影響が出そうなのでほどほどにしてます。
あと、毛羽立ちが仕上がりに関係するなら「生成りよりオイルレザーの方が綺麗に仕上がるかも?」と思い、オイルレザーでも試してみました。
※オイル多めの革、イビザの端材を使用。
こちらは手順1回ですが、かなり綺麗になっている気がします。
予想ですが、革に含まれるオイルの力で、目止め液が表面にうまく残ってくれているのかと。
クロム革のコバ処理も簡単だった
クロムレザーのコバ処理をしたことはありますか?
経験のある人は分かると思いますが、コバ処理がとっても難しいことで有名です。
実は先日、クロム革を使ったクラッチバッグ制作のオーダーがありました。
その時、初めてクロム革と向き合ったのですが、コバの処理で苦戦しました。
手始めにトコノールやトコプロなど、クロム革にも使える床面処理剤でコバを磨いてみました。
※上記の2つは、用途に『クロム革』の記載も有る。
こちらは磨く前のコバです。
そしてこちらが磨いた後のコバ。
見ての通り、納得いく状態にはなりませんでした。
確かにコバの手触りは少しツルツルになりましたが、銀面との一体感が無いですよね。
これでは床面側の灰色が目立ってしまうので、見栄えが良くないと感じるので、なんとかしたい。
そこで大活躍してくれたのが、『バスコ』です。
先ほど紹介した手順と同じように、目止め液を塗ってからバスコを塗ってみました。
コバを磨いてはいませんが、クロム革のコバが手軽に綺麗になったのは嬉しい発見でした。
バスコの使い方とメリット【まとめ】
バスコを使うと、とっても手軽にコバの染色ができますね。
バスコのメリット
- 自分の好きな色のコバが作れる!
- 使い方がとっても簡単!
- 作業に専用道具は必要ない!
- 乾きが早くてノンストレス!
- タンニン・クロム革に対応!
バスコには、無色以外には10種類の基本的な色はそろっています。
もし、使っている革に合わせた色が欲しければ、色を混ぜれば対応できますよ。
乾きが早いのは、量をこなす人にとっては特に大きなメリットになります。
そのため、職人さんからも定評があるのがこのバスコです。
革の染色は、覚えようとするとなかなかの『沼』なんですが、バスコは本当に手軽に使えますよ。
手始めにはちょうど良いと思うので、興味があればぜひ試してみてください。