レザークラフトの縫い穴を空ける「ひし目打ち」。
革に菱目打ちをカンカン打ち込んで、綺麗に並んだひし型の穴が開く。
かっこいいですよね!
欲しいけど、1本7,000円(上級品)は高いなぁ・・・。
安いのもあるみたいだけど、安くてもちゃんと使えるのかしら?
1本あたり約150円から、1本あたり7,000円する高級品など。
ひし目打ちはピンキリ。でも必要な道具だし、何を買えばいいのやら・・・。
こんな方におすすめの記事です
- ひし目打ちを買おうと思っているが失敗したくない
- 1本あたり約150円の初級品が使えるのか知りたい
- 1本あたり約1000円の中級品と初級品の違いが知りたい
- 使い勝手・作品にどんな影響があるか、具体的に知りたい
- オススメのひし目打ちが知りたい
ひし目打ち 2種類を比較
本記事で比較するのは、以下の2種類のひし目打ちです。
どちらもAmazonで購入できるものを選びました。
比較するひし目打ち
- 1本あたり約150円のひし目打ち(以下、「初級品」と呼ぶ)
- 1本あたり約1000円(以下、「中級品」と呼ぶ)
実際のひし目打ちがこちら。
写真上が「初級品」、写真下が「中級品」です。
初級品は4mm幅の【1、2、4、6本目】の4本セット。
中級品は4mm幅の【1、2、5、10本目】の4本セットになっています。
パッと見はあまり変わりませんね。
比較した結果、値段も違いますが、性能も全然違いました。
どちらのひし目打ちを選ぶべきかの参考になれば幸いです。
おすすめのひし目打ちは【中級品】
おすすめしたいのは、断然「中級品」です。
【Active Island 菱目打ち 参考価格:Amazon 3990円】
※上記参考価格は、2022年4月18日時点
ひし目打ち中級品レビュー
使い勝手はとても良かったです。
穴もすんなり開きますし、抜く時も革に引っ掛からずにヌルっと抜けます。
価格(コスパ)を考えたら、すごく良いひし目打ちだと思います。
ちょっと残念だったのは、「鏡面仕上げ」と書いてあったのは「刃先」だけの話みたいで・・・。
商品写真は全体がツルツルの鏡面に見えてたのですが、実際はヘアラインのような仕上がりでした。
初級品より中級品がおすすめな理由
中級品がおすすめな理由
- 初級品は価格が低い分、どうしても道具としてのクオリティが低い
- 完成度・作業時間に決して少なくない影響が出るから
初級品でも革小物を作ることはもちろん可能です。
可能ですが、中級品と比較した時に圧倒的な差が出てしまいました。
どんな違いが出たかについては、次でご紹介していきます。
ひし目打ちの性能を4項目で比較
今回比較した内容は以下の4つです。
ひし目打ちの比較内容
- 穴の開けやすさ
- ひし目の形
- 革から抜くときの手応え
- 刃先の見た目
道具に合わせた打ち方をすると差がわかりづらくなるので、ひとつ条件を。
どちらのひし目打ちも、同じ力加減で使用して、比較していきます。
それでは見ていきましょう!
比較【穴の開けやすさ】
まずは、双方のひし目打ちを打った時に、穴の開けやすさに違いがあるかを確認しました。
1mmの革を2枚貼り合わせ、ステッチンググルーバーで縫い線を引いて穴を空けていきます。
両方とも同じぐらいの力で打つことを意識して試したところ、穴の開けやすさにかなりの差がでました。
革2枚を貫通するまで
- 初級品:叩いた回数 20回
- 中級品:叩いた回収 7回
叩く回数が少ないと、こんなメリットがあります。
メリット
- 作業スピードが上がる
- 疲労が蓄積しにくい
- 音を出す回数が減る
近隣への音を配慮する場合は、音を出す回数が減るのはかなり大きいメリットですよね。
刃先に違いがあるかと言うと、肉眼ではハッキリわかりません。
ただ、【中級品】の方が刃が引っ掛からずに、スルッと入っていく感じです。
写真左:初級品で開けた穴
写真右:中級品で開けた穴
初級品で開けた左のひし目、縫い線からはみ出していますよね。
ひし目打ちを打ち込む前にしっかり線に合わせたのですが、刃先がうまく入らなくて、木づちで叩いてるうちにズレてしまいました。
もちろん初級品でも、気を付ければ線からはみ出さずに穴を開けることも可能です。
どちらも同じ力の入れ方でやった結果、ズレてしまいました。
ポイント
気を張りながらやるのは疲れる。(集中力の消耗)
失敗するリスクが上がる。
消耗が激しいと失敗に繋がりやすい!
ひし目打ちの比較:【ひし目の形】
続いて、革に開いたひし目に注目してみましょう。
こちらは、先ほど開けた穴を拡大した写真です。
穴の周りを見てみましょう。
初級品は切りっぱなした感じに。
中級品は、穴の周りがしっかり押しつぶされているようで、綺麗な穴に見えますね!
なぜ同じひし目打ちで、同じように打ってこんなに違いが出てしまうのか。
それは次の【革から抜くときの手応え】で紹介する内容に付随するものと思われます。
ひし目打ちの比較:【革から抜くときの手応え】
これは写真だと伝えにくいのですが、初級品は引き抜くときに刃の胴の部分が革に引っ掛かって、かなりの力で引っ張らないと抜けませんでした。
中級品は、ノンストレスで、スッと抜けました。
比較した結果、道具の性能に一番差を感じたのはここかもしれません。
抜けにくい = 作業性が落ちる
かなりの力で引っ張る = 革を痛める
クオリティの高い革小物を作るにはちょっと難しいかな・・・と、初級品に限界を感じた部分です。
引っ掛かる原因は、次の【道具の見た目】の比較で明らかになります。
ひし目打ちの比較:【刃先の見た目】
ひし目打ちを使用して、一番作品に影響してくる部分は、当然刃先になりますよね。
そこを比較したいと思います。
まずこちらが初級品です。
初級品の表面がデコボコしてるは、かなりザラザラした手触りになっています。
このザラザラが革の繊維に引っ掛かったり、摩擦を生んでいるので、革からスムーズに引き抜けない原因となっていました。
研いであげれば、スルッと抜けるようになるかもしれませんが、刃は均等に研磨するように注意しましょう。
刃を均等に研磨する理由
- 刃の形が変わるとひし目も変わるため
- ひし目の形はステッチの見た目にも影響が出る
以上が、初級品と中級品を比較した内容です。
次に、有名なレザークラフトメーカーのひし目打ちをご紹介していきます。
クラフト社・協進エルのひし目打ち
その他におすすめなのは、レザークラフト道具メーカーで有名な2社のひし目打ちです。
有名メーカー
- クラフト社
- 協進エル
さすがにどのメーカーの商品も評価が高いです。
4本目なら1本800円前後ですが、趣味でレザークラフトをするには充分すぎるほどの性能です。
私も、レザークラフト教室でクラフト社の目打ちを使いましたが、初心者でも使いやすかったです。
どのメーカーも共通していますが、柄の部分が円柱になっています。
持つところが丸いと、持ちやすくて叩いた時にブレにくく、手も痛くなりにくかった印象です。
クラフト社 4本目 参考価格:935円
協進エル 4本目 参考価格:1,119円
※上記の価格は、2023年12月にAmazonで確認したものです。
1年前の金額と比べると、100~300円値上がりしています。世知辛いですね。。
各メーカーのひし目打ちも、刃の部分はしっかり研磨されているので、中級品と比べて、穴あけ性能に大きな違いは無いと思われます。
また、持ち手が丸く、滑り止め加工もされていますので、安物の菱目打ちと比べるとかなり打ちやすいと感じるはずです。
とはいえ、そのあたりは好みの問題ですかね。
(私の菱目打ちは角ばってますが、個人的に使いやすいと思っています。)
また、ひし目打ちは、刃数が増えると値段が上がります。
本記事でご紹介した中級品のように4本そろえた場合、合計金額にはあまり差はでません。
そのため、ちょっと決め手に欠けるので・・・あとは見た目から入るのも良いかと思います。
(私がそうです。笑)
ひし目打ちはセットで必要なのか
4本目だけとかじゃダメ?
1種類だけだと厳しいぞ。
ひし目打ちは最低でも3種類は欲しい
ひし目打ちには、それぞれ役割があります。
わかりやすいイメージ図があるので見てましょう。
引用元:https://shop.r10s.jp/leathermart/cabinet/07738441/hakazugaooi.jpg
刃数の違い それぞれの用途
- 1本目は細かいカーブと、穴と穴の距離の微調整に。
- 2本目は大きめのカーブと、コーナーまでの穴の位置の微調整に。
- 4本目は直線部をまっすぐ打つために。
- 6~10本目はもっとながい直線部をまっすぐ打つために。
上記のように、刃数の違いでそれぞれの用途があるので、1本目、2本目と、4本~10本目のモノを一つ、計3本は最低限用意したいところです。
メモ
刃数が増えるほど、貫通に掛ける力が倍近く必要になります。(それぞれの刃に力が分散するため)
力に自信がなかったり、あまりガンガン叩きたくない人は少なめの刃数を選ぶと良いでしょう。
【まとめ】ひし目打ちは中級品を買おう!
初級品と中級品を比較してみると、違いがハッキリわかりましたね!
使いやすいひし目打ちを選ぶ時のポイントは、刃の研磨が十分にされているかどうかです。
ただ、ネット通販だと刃先の状態まで伺えないので、良いモノを選ぶのは難しい・・・。
刃の状態がわからないものを買うのはギャンブル要素が強いので、心配な方は今回ご紹介した中級品か、メーカー3社のどれかを選べば大丈夫です!
刃がしっかり研磨されていると
- 穴あけがスムーズで時間短縮&クオリティUP!
- ひし目打ちの引き抜きがスムーズで時間短縮&クオリティUP!
- 作品となる革を痛めない
- 結果、ノンストレス!
もちろん「とりあえずやってみたいから安いのを買う」という選択肢もあります。
ですが、作品が綺麗に出来ないとつまらなくなってしまう可能性があります。
また、はじめのうちは、ひとつの小物を作るのもそこそこ時間と手間が掛かります。
初級品クラスのひし目打ちを買っても、おそらくすぐに良いモノが欲しくなると思いますし、できれば1本あたり1000円前後のひし目打ちを用意してみましょう。
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