フチ捻(ふちねん)で捻引きを施すと、作品がグッと引き締まって見えるようになります。
使い方をマスターして、綺麗な作品づくりに活かしましょう!
本記事では、ターボライターを使用したフチ捻の使い方をご紹介します。
フチ捻で捻引き|必要な道具(ライター版)
捻引きには、以下の道具を使います。
捻引きの道具
- フチ捻
- ガラス板
- ターボライター
- スポンジ
※通常、フチ捻を熱するのはアルコールランプなどを使用して行いますが、今回は安全度の高いターボライターを使ったやり方をご紹介します。
フチ捻は火で熱して使用するので、下敷きとして溶けないガラス板を使います。
スポンジは、革を成形しやすいよう、革を湿らせるために使います。
絶対に必要なわけではなく、濡らしたタオルなどでも代用できます。
フチ捻の代用品として、『ネジ捻』という道具でも捻引きをすることができます。
少し違いはありますが、フチ捻の特徴と一緒に以下の記事で紹介していますのでご参考ください。
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レザークラフト用フチ捻|持ち方&使い方
フチ捻の持ち方は、親指は、捻引きの時に上から力が掛けられるように持ちます。
それ以外の4本の指は柄を持って安定させます。
フチ捻は、コバに沿って革に捻引きを施すために使います。
下の写真のように構えて、フチ捻を革に押し当てながら矢印の方向に引いていきます。
捻引きとは?
コバに沿って、革に溝を入れつつコバを引き締める作業。
捻引き用の道具は熱して、革に熱を加えながら行う。
フチ捻で革に捻引き|ライターを使う方法
今回は、私がいつもやっている捻引きの手順をご紹介します。
step
1革を水で湿らせる
まずは、コバ付近を軽く水で湿らせます。写真では右側のコバを湿らせています。
革に水を少しだけ含ませてあげることで、革が柔らかくなり成形しやすくなります。
また、捻引きの後に革が乾くことで、溝の形を維持してくれます。(革の可塑性を活かす)
ココがポイント
ヌメ革などの銀面が固い革の場合、時間が経つと元の形に戻ろうとします。
水で濡らすことで成形性が良くなり、形(溝)を維持できます。
step
2フチ捻で軽くガイドラインを引く
捻引きは失敗すると後戻りできないので、ガイドラインを引くことが重要です。
写真のようにフチ捻をコバに沿って引いていきますが、この時、力はほとんどいりません。
ガイドラインが曲がらないことだけに注意しながら引いていきましょう。
写真のように、軽く跡がついてればOKです。
ココに注意
気を抜くと線が曲がってしまう。
特に、始点と終点は曲がりやすいので注意すること!
step
3フチ捻を熱する
私の場合は、安全を考えてターボライターでフチ捻の先端を熱していきます。
熱する時間は、10秒くらいを目安に行います。
ココに注意
熱し過ぎると、フチ捻が熱くなりすぎて、革がコゲてしまうので注意!
使用するフチ捻やライター、気温、環境などにより、熱するのに適切な秒数が多少変わります。
ただ、熱した後は当然熱いので、触って確かめることもできません。
大体10秒間で問題ないと思いますが、何度か試してちょうど良い加熱時間を探ってみましょう。
参考までに、私が使っているフチ捻をご紹介しておきます。
step
4フチ捻で捻引きをする
熱したフチ捻を、ガイドラインに沿って捻引きしていきます。
終点までしっかり捻引きをして・・・
完成です!
コバに沿って、溝が綺麗に入ったのがわかると思います。
もし均等に溝が入らなかった場合は、2~3回繰り返し捻引きを行いましょう。
ココがポイント
最初から力いっぱい捻引きすると、失敗のリスクが高い。
軽めに2~3回やった方が失敗せずに綺麗に引ける。
フチ捻にはターボライターを使用しよう
フチ捻に対して、普通のライターではなく、ターボライターを使うのには理由があります。
実は普通のライターでフチ捻を炙ると、フチ捻にススがついてしまうのです。
そのススが捻引きの時に革に付着してしまい、革も黒く汚れてしまうのです。
普通のライターを点火すると、ゆらゆらと赤い火が点きますよね?
この赤い火は、火が酸素不足の状態になっていることの現れなのですが、実はこれがススが出る原因。
それは、でんじろう先生も分かりやすく解説してくれていました。(解説ページを見る)
反対にターボライターは、青い火が点きます。
火が酸素不足にならず、ススも発生しませんので、革を汚さずに捻引きできるのです。
アルコールランプは赤い火も点きますが、そもそも燃料に違いがありススが出ないようです。
もしアルコールランプを使うなら、ライターと温度が異なるので、熱する時間は調整してくださいね。
ココがポイント
火が酸素不足になると、ススが発生する。
赤い火が出るライターを使っての捻引きは、革を汚すのでやめておこう!
火の用心|でもライターは安全度が高い
捻引きは、火を使う作業なので充分に注意して行いましょう。
フチ捻の加熱は、一般的にアルコールランプを使って行います。
にも関わらず、私がライターを使用しているのは事故のリスクを減らすためです。
事故のリスク
- 髪に燃え移るリスク
- 火事が起きるリスク
髪が長い人の場合は、髪に火がついてしまう可能性もあるので注意しましょう。
私の家もそうですが、小さいお子様がいる場合も、火を使うのに不安を感じると思います。
アルコールランプの危険性
アルコールランプは、火が点いた状態で机に置いたままに出来てしまいます。
本来は、使い終わったら1回1回火を消すものですが、消し忘れでこんなリスクが考えられます。
うっかりミスの例
- 気が付いたら髪やモノに火が点いていた
- 火が点いたまま作業台から落としてしまった
作業に集中していますから、『うっかりミス』をしないとは言い切れません。
実際、アルコールランプは事故も多いみたいなので、使う場合はご注意くださいね。
ライターの利点と注意点
ライターであれば、手を離したら火は消えることになります。
そのため、アルコールランプのよう火を点けっぱなしにする心配はありませんね。
ただ、ライターなら危険が全く無いかと言えばそうではありません。
私はいつも、以下の事に気を付けて使っています。
ライター使用時の注意点
- ライターが溶解しないように、1回で熱する時間は極力短くする。
- ライターが冷め切らない前に、連続して着火しないようにする。
- フチ捻の熱した部分に指が近くなるので、触らないように気を付ける。
これらに気を付ければ、安全に捻引きすることができます。
もし火の扱いが心配なら、ライターを使うと良いでしょう。
【まとめ】フチ捻を使うメリット
中級者イメージの強い捻引きですが、意外と簡単に感じられたのではないでしょうか。
実際、フチ捻を火で炙って引いていくだけなので、すぐできるようになると思います。
捻引きのメリット
- コバが引き締まる
- コバを丸める効果も
- 革に溝ができ、見栄えUP
このように、フチ捻で捻引きをすると、ワンランク上の作品を作ることができます。
火の取り扱いでアルコールランプを敬遠していた人も、ターボライターなら安心ですよね。
この機に、ぜひ試してみてください。
もっとフチ捻について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
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