SEIWAの『COVA SUPER(コバスーパー)』というコバの着色仕上げ材を試してみました。
本記事では、コバスーパーの使い勝手や仕上がりについてご紹介しています。
今回初めて使ったみた製品ですので、失敗しやすいところ等の気付きもありました。
そのあたりも参考になればと思います。
2023年10月に、コバスーパーを販売していた誠和が廃業してしまいました。
そのうち手に入らなくなるかもしれませんので、その時は酷似した製品のコバプラスを検討してみてください。
コバスーパーとは?製品の特徴など
コバスーパーとは、SEIWAが販売しているコバの着色仕上げ材です。
芯通しされてない革や、コバを磨きにくいクロムレザーなどのコバ処理で重宝します。
芯通しされてない革とは、このようにコバまで色が浸透していない革のことですね。
このままだとコバの断面が目立ってカッコ良くないので、着色しつつ仕上げます。
後程、コバスーパーの使い方で、この革を仕上げていきたいと思います。
続いて成分ですが、コバスーパーは水性アクリル樹脂です。
液体の樹脂というと、粘度が高くて「のびる、ねばる」の印象がありましたが、コバスーパーの手応えはアクリル絵の具のような感じです。
目打ちを突っ込んで引き上げても、糸を引くような粘度はありません。
ただ、目打ちの先端に溜まった液が「ポタッ」と落ちることもない、そんな材質です。
臭いは全然気になりませんでした。
近くで嗅いでみると、油絵を描くときに使う絵の具のような感じの臭いはあります。
ですが、実際に使用している最中は無臭の域で、改めて嗅がないと分からない程度です。
色は全部で14色あり、コバスーパー同士を混ぜることもできます。
絵の具感覚で好きな色を作れるので、簡単に革に合った色に調整することができて便利です。
コバスーパーの使い方
それでは、コバスーパーの使い方です。
まず、基本的な使用方法は以下の通りです。
コバスーパーの使い方
- 下地処理(コバ磨き)
- コバスーパーを塗布
- 30分程乾かす
- 再度コバスーパーを塗布
- 完全乾燥させる(約1日)
- スリッカーで軽く磨く
綺麗なコバ磨きの方法については、こちらの記事ご紹介してますのでご参考ください。
それでは手順を確認していきましょう。
今回コバスーパーを塗布する革は、先程の芯通しされてない革(クロムレザー)を使いますね。
※タンニンなめし革での仕上がりは、目次の「コバ処理をしてから塗布する意味」をご覧ください
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1コバスーパーを塗布(1回目)
染色したいコバに、コバスーパーを塗布します。
※コバは軽くトコノールで磨いてあります。
写真では、塗布するのに目打ちを使っていますが、メーカー推奨は以下の通りです。
塗布に使う道具
- 筆
- 目打ち
- 楊枝
最初に綿棒でやってみたんですが、綿棒の繊維の影響で、表面がうまく平らになりませんでした。
綿棒でなぞった跡が残る感じです。なので、目打ちで塗布することにしました。
適度な硬さの液体なので、厚塗りし過ぎなければコバからはみ出すことはなかったですね。
一言で言えば「塗りやすかった」です。
手応え的には「樹脂をのせている」というよりは、「アクリル絵の具を塗っている」感覚です。
はみ出した場合は、アルコールを含ませたウエスですぐに拭き取るのが良いそうです。
ただ、ヌメ革などの浸透しやすい革の場合は絶対にはみ出さないように慎重にやる必要があります。
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2乾燥させる(1回目)
コバに均等に塗布したら、一度乾かします。
数分後には、触っても手に付かないレベルまで乾いてくれました。(環境による)
メーカー推奨時間は30分換装させた後に2度塗り。
完全乾燥は1日かかるとしている。
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3コバスーパーを塗布(2回目)
2回目のコバスーパー塗布を施します。
写真は塗布したあとですが、だいぶ色濃く着色できてきましたね。
ここでひとつ注意点。
1回目よりも、塗布する量を少し減らす意識で塗布するようにしましょう。
1回目は革に浸透する分、塗布量が少し多めでした。
ですが、2回目は1回目のコバスーパーに乗せるだけで良いので、塗布する量が少なくなります。
1回目と同じ量で塗布するとはみ出しやすいかも。
塗布する量を意識してやるだけで失敗しにくい!
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4完全乾燥させる
丸一日を目安に乾燥させます。
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5スリッカーで軽く磨く
最後に少し磨くと、ツヤが増します。
あまり強くこすると、せっかく乗せた樹脂が剥がれかねないので、軽く磨きましょう。
そして、こんな感じで仕上がりました。
右の方がなんか黒っぽく見えるかもしれませんが、気のせいではありません。
今回使用したコバスーパーのウルトラマリンの中身は、濃い青と明るい青の2色が混ざってました。
どうやら撹拌不足で、その濃い青が右側に集中してしまい、写真に黒っぽく写ったようです。
コバ処理をしてから塗布する意味
手順の一番最初で、下地処理のためにコバを磨くとご紹介しました。
下地処理をしない・した場合で仕上がりを比較してみましたので、参考になれば幸いです。
まず、こちらがコバを磨かずにコバスーパーを塗布した場合です。
表面がかなりザラザラしているのが分かりますよね。
革の繊維がもろに凹凸を作ってしまっています。
そして、こちらがコバ処理をしてからコバスーパーを塗布した場合です。
表面がツルっとしましたよね。
同じ革をトコノールで下地処理したものですが、ここまで違いが出ました。
触った感じも、コーティングされた感がすごいです。
『水に濡れに強く、美しく、割れに強く丈夫に仕上げます』と、うたっているだけあります。
仕上がりが今一つに見えるのは、多分実力の問題ですね。(^_^;)
綺麗に均一にコバコートを塗布するには、もう少し練習が必要だと感じました。
また、個人的にツヤはあまり無い方が好みです。
今度手持ちのツヤ消し剤を試してみたいと思います。
まとめ|コバスーパーで『染色+防御力強化』
コバスーパーを使うことで、とっても簡単にコバを染色することができました。
また、染色だけでなく、樹脂によって水や汚れからコバを守る役割もあります。
コバスーパーのメリット
- 簡単にコバを染色!
- 絵の具感覚で色を作れる!
- クロム革にも使える!
- タンニン革にも使える!
- 曲げても割れにくい樹脂!
- 樹脂が水・汚れをはじく!
- ツヤが出せる!(好み有)
似た製品で、協進エルの「バスコ」という、コバ染色のできる仕上げ剤もあります。
コバスーパーよりも緩い液体で乾くのが早いですが、「樹脂がのる」という感じはありません。
目止め液を使うとまた違うのですが・・・バスコについて知りたい方はこちらもどうぞ。
他にもクラフト社のコバコートなども有名ですが、使い勝手や質感が全部微妙に違います。
特に仕上がりは好みが出る部分なので、「好き!」と思えるコバ染色剤を探してみましょう。