トコ面・コバ磨き剤で、何を買えば良いか迷っていませんか?
レザークラフトで作品を作るからには、可能な限り綺麗に仕上げたいですもんね。
より綺麗に仕上がるモノを使いたくなるのは当然のこと。
なので、それぞれの薬剤を使ってどれが一番綺麗に仕上がるかを試してみました。
結論から言うと、どれも大差ありません。ですが、比べてみるとやはり多少の差はあります。
主観混じりですが、検証した結果、個人的にはトコノールが一番好きかなと思いました。
2023年10月に、トコノールのメーカーである誠和が廃業してしまいました。まだ在庫があるからかAmazonなどでは購入できますが、今後のことを考えてトコプロなどへの切り替えを検討しています。
磨いたコバの写真比較や、触り心地に関してまとめていますので、参考にしてみてください。
トコノール・トコフィニッシュ・トコプロ・水で検証
今回検証するのは、以下の4種類のコバ磨き剤を使った時の仕上がりです。
仕上がりとは、見た目と触り心地を指します。
また、その他で作業中に感じたことなども記載していきます。
検証のために用意した革
検証のため、2種類の革を用意しました。
テスト用の革
- 写真 左:ヌメ革
- 写真 右:オイルレザー
※ヌメ革は姫路レザー、オイルレザーはエルバマットを使用しています。参考まで。
さて、革にはそれぞれ4辺あります。
使った仕上げ剤がどれか分かるように、文字を刻印することにしました。
文字の意味
- N = トコノール
- F = トコフィニッシュ
- P = トコプロ
- W = 水
名前が全部トコから始まるので、トコを除いた時の頭文字で表しています。
さて、こちらは、ヘリ落とし・やすり掛けなどの下地処理を完了させた磨く前のコバです。
この後ご紹介していく各薬剤で磨いた後のコバと、ぜひ比べてみてください。
コバの下地処理は、以下の記事の方法で行っています。
コバを磨く方法
同条件でどれくらいの違いが出るか知りたかったので、磨く方法は全て同じにしました。
まず、磨く道具はスリッカーを使います。
厚さ2mmのヌメ革は丸平タイプ、厚さ4mmのオイルレザーは棒タイプで磨きます。
その他の条件
- 磨く時間
- 磨く力
- 磨く回数
- 塗布する回数(2回)
これらの条件は、ほぼ同じようにやるように意識して検証しています。
磨く方法は【コバ磨き剤塗布 ⇒ 磨き1回目 ⇒ 再度コバ磨き剤塗布 ⇒ 磨き2回目】です。
(ドキドキ)
コバ磨き剤の検証結果:『見た目』
それでは、それぞれのコバ磨き剤で磨いた検証結果を見ていきましょう。
最後の方で、結果を並べて確認できるようにしていますが、まずは個別の結果をどうぞ。
トコノールの結果
トコノールは、しっかりツヤが出てくれますね。
ヌメ革・オイルレザー共に上々な仕上がりです。
トコフィニッシュの結果
トコフィニッシュも、ヌメ革・オイルレザー共にバッチリツヤが出ています。
磨く時に摩擦(抵抗)が掛かりやすくて、カシカシとしっかり磨けます。
※磨き方によってはムラが出やすい印象。
トコプロの結果
トコプロは、トコノールやトコフィニッシュと比べて、ツヤが控えめな結果になりました。
「あまりツヤツヤしてない方が良い」という方にはちょうど良い薬剤かなと思います。
水の結果
水でもツヤは出ましたが、さすがにどのコバ磨き剤よりも仕上がりは落ちますね。
樹脂コーティングしてない状態なので、本来の革の触り心地を残せるのは水の利点です。
ヌメ革の結果【まとめ】
比較しやすいように、ヌメ革の検証結果を1枚の写真にしました。
見ての通り、それほど大きな差は出ていませんね。
オイルレザーの結果【まとめ】
そしてこちらは、オイルレザーの検証結果をまとめたものです。
コバ磨き剤の検証結果:『触り心地』
コバの触り心地も比較してみました。
手触りの違い
- トコノール=ツルスベ
- トコフィニッシュ=ツルツル
- トコプロ=ツルサラ
- 水=まだ少しザラつく感じ
すごく、ざっくりとした表現で恐縮です。
実際触って比べても、それほど大差ないということだと受け取っていただければ幸いです。
ほんの少しだけ違う感じはするのですが、擬音で表すと上記のようになってしまいました(^_^;)
ですが、さすがに水には明確な差が出ました。
そもそもコバ仕上げ剤で磨くというのは、樹脂のコーティングも掛ける作業になります。
なので、コーティングをしない水は、さすがにザラつくので分かりやすく違いました。
『その他』:作業中に感じたこと
他にも作業中に感じたことがあるので、いくつか挙げていきます。
このあと紹介する特徴の違いを見ると分かりますが、トコノールとトコプロは似ています。
そして、トコフィニッシュは、上記2つとは少し違いがあります。
『色』について
あまり気にする必要はありませんが、薬剤の色についても触れておきます。
薬剤の色
- トコノール:乳白色
- トコフィニッシュ:無色
- トコノール:乳白色
トコフィニッシュだけ無色透明です。
メーカー的に、革の色に影響されない、影響を与えないのが魅力の一つとしています。
「乳白色を使ったら色に影響が出てしまった」と感じたことは特に無いですが、気になる方は無色のトコフィニッシュがおすすめですね。
『におい』について
どの薬剤も刺激臭はありませんが、一応においについても触れておきます。
薬剤のにおい
- トコノール:ある
- トコフィニッシュ:無臭
- トコプロ:少しある
一般的な刺激臭というほどでは無いと思いますが、トコノールが一番においが有ると感じました。
とはいえ、蓋を開けてたら家中ににおいが拡がるというレベルではありません。
鼻を近づけてもツンとしたにおいはありませんし、気にするほどでは無いかと思います。
トコプロも少しにおいはあります。トコノールよりは控えめなレベルです。
トコフィニッシュは、ほぼ無臭ですので、においが気になる方には向いています。
ちなみに、どのコバ磨き剤も、乾いた後はほとんど匂いはしません。
『粘度』について
粘度が違うと作業性が変わってくるので、チェックしておきましょう。
薬剤の粘度
- トコノール:とろ~り
- トコフィニッシュ:サラサラ
- トコプロ:とろとろ
トコフィニッシュは、一番水に近く、かなりサラサラしてます。
トコノールは少し粘度が高めで、トコプロはトコノールよりもゆるいです。
どれが塗りやすいと感じるかは、個人差があると思います。
個人的には、粘度が高い方が狙ったところに塗りやすくて好きです。
また、サラサラしてると革の繊維への浸透率が高く、すぐに入り込んでくれます。
反面、間違えて銀面に付いてしまった場合も、染み込みやすいとも言えます。
トコノール、トコプロははみ出しても、すぐ拭けば拭き取れる。
トコフィニッシュはすぐに革の繊維に染み込み、拭き取りは困難。
また、広範囲に塗る時は、すぐ浸み込まない方が薬剤を伸ばしやすくて塗りやすいかなと思います。
トコノールとトコフィニッシュを同じくらいの量をつけて、床面に垂らしてみると良く分かります。
左がトコノールで、右がトコフィニッシュです。
トコフィニッシュはすぐ床面に染み込み、トコノールは床面に染み込まずに乗っかっています。
そのため、薬剤を伸ばすのも簡単なので、全面に均等に塗りやすくなっています。
コバ磨き剤の検証【まとめ】
今回は、コバ仕上がりの見た目や、触り心地、使いやすさなどを検証してみました。
結果的に、個人的に一番しっくり来たのは『トコノール』でしたが、個人差はあると思います。
使いやすさで言えば、サラサラのトコフィニッシュの方が使いやすいと思う人もいるでしょう。
また、コバの仕上がり具合も、何を良しとするかは作り手の好みによるところが大きいです。
コバ磨き剤のまとめ
- 見た目の仕上がりは大差なし!
- 水より綺麗に磨きあがる!
- 触った感じは微妙な差がある!
- におい・手応えも少し違う!
コバ磨き剤の金額は、内容量も加味して考えると、どれもそんなに変わりません。
そんな時は、以下のポイントを参考に決めてみてください。
使いやすさ◎!はみ出しても拭き取れる『トコノール・トコプロ』
匂い・色が気になるなら『トコフィニッシュ』
それでも迷ってしまうなら、商品の見た目で選んでも良いかもしれませんね。
協進エルさんのアイテムはデザインが凝っているモノが多くてけっこう好きです。
以上、コバ磨き剤の検証結果でした。
少しでも、コバ磨き剤を選ぶ時の参考になれば幸いです。