粗裁ち(あらだち)とは、必要なサイズピッタリの大きさで切るのではなく、少し余裕を持って切り出すことを差します。
レザークラフトでも、革を裁断する時に粗裁ちを行います。
この記事では、粗裁ちのメリットを4つご紹介していきます。
革を粗裁ちするメリット 4つ
まずは、粗裁ちをするメリットを見てみましょう。
粗裁ちのメリット
- コバのシミ予防
- 革の伸びによるズレ予防
- 床面処理がラク
- 革を裁断しやすくなる
コバのシミ予防
床面処理をする時に、トコノールなどのコバ処理剤を床面に塗布していきますね。
この時に、革の端からはみ出さないように塗布するのは結構むずかしいものです。
写真のように、ヘラを使って塗布するのが一般的ですが、革の端からはみ出すと、コバに処理剤がついてしまうということがあります。
上の写真では、茶色のトコノールが革の端をはみ出して、コバに付着していますね。
写真にも注釈がありますが、粗裁ちをしているおかげで、最終的にこのシミがついた端の部分は切り取られてなくなります。
写真:粗裁ちした様子
仮に拭き取るとしても、まだコバ処理剤が乾いてない床面を触ることになります。
それが手について、別のところについてしまうというリスクもあります。
これでは、綺麗な作品に仕上がりませんよね。
粗裁ちをしておけば、コバにつくシミをあまり気にせず作業を進められます。
これはスピードアップにも繋がるので、ひとつのメリットと言えますよね。
ココがポイント
粗裁ちをすると、床面処理が楽になる!
コバ、銀面などにシミを作ってしまうリスクを減らせる!
革の伸びズレ予防
革の伸びは、床面処理と関係があります。
床面処理はガラス板やスリッカーを用いて磨いていきますが、ある程度の力を入れて床面を磨きますので、革が少し伸びてしまうということがあります。
例えば、下の写真のように、粗裁ちせずに切った革を、ひとつひとつ磨いたらどうなるでしょうか?
以下の2つが、特に革が伸びやすい場所です。
伸びやすい場所
- 革の端っこ
- 小さい革のパーツ
上記はどちらも、磨く時に力が掛かりやすいので、より革が伸びやすくなります。
上の写真にも小さいパーツがありますが、もしそれぞれ微妙に伸びてしまったら・・・。
と、こういった事が起こる可能性があります。
端も伸びやすいので、革を貼り合わせた時にコバにズレが出る可能性があります。
伸びると言っても少しですが、肉眼で分かるレベルではあるので注意が必要です。
粗裁ちをしておけば、小さいパーツも無く、革の端は最終的に切り落とすので、革の伸びによるズレが生じにくくなりますよね。
ココがポイント
コバ処理で革が伸びにくくい!
革の端が伸びてしまっても、パーツのサイズに影響しない!
床面処理がラク
ひとつひとつのパーツに切ってから、それぞれを床面処理するのは大変ですよね。
更に、前述したコバのシミを気にしながらやるため、かなり神経を使います。
パーツごとに切り取る前に、粗裁ちした状態であれば、革が一枚なので床面処理は1回で済みますよね。
革を裁断しやすくなる
これは単純に、やりやすさの問題です。
机の上で、半裁のような大きい革から、小さなパーツをひとつ切り取るのは大変ですよね。
なので、いったん必要サイズに粗裁ちした革の方が、パーツも切り取りやすくなります。
【まとめ】粗裁ちはラク&作品が綺麗に
粗裁ちって意外とメリットがあると、感じてもらえたかと思います。
粗裁ちのメリット
- 床面処理が楽になる!
- コバ、銀面などにシミを作ってしまうリスクを減らせる!
- コバ処理で革が伸びてしまってもパーツのサイズに影響しない!
- 床面処理が1回で済む!
- パーツを切り出しやすくなる!
革を余分に切るのはもったいないと感じるかもしれません。
しかし粗裁ちは、作品が綺麗になることと、手間を削減できるメリットがあります。
ぜひ意識してやるようにしてみましょう。
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