レザークラフトに使われる牛革。
一口に牛革と言っても、月齢、性別、出産の有無などで革の性質が違います。
それぞれ分類されて呼び名も変わります。
こんな方におすすめの記事です
- キップ・カーフなどについて知りたい
- 良い牛革とは何か知りたい
- 分類されたそれぞれの牛革の特徴を知りたい
分類ごとのそれぞれの違いも説明していくよ!
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前置き 革素材は意外と複雑
革素材は、使用されている革(原皮)の分類や、部位、なめし方などによって、実に多種多様なモノが出回っています。
ひとつの革に対して、以下のような製品情報が記載されます。
原皮の分類部位なめしの手法染料の手法加工方法
この記事では、この中の「原皮の分類」にのみフォーカスしてご紹介していきます。
革の素材情報の例
【カーフスキン、ショルダー、タンニンなめし、染料仕上げ、銀付き革】
などのように革の情報を表現できます。
革の販売者が、上記のように表記してくれていると親切だなと感じますが、あまり見かけません。
どちらかというと、見た目(写真)、つや、やわらかさ、オイルの量、経年変化の有無などで製品の紹介をしているところが多く感じます。
牛革 5種類の原皮
冒頭でもおはなししましたが、牛革は月齢や性別出産の有無によって呼ばれ方が変わります。
例えば、豚革は基本的に豚革と呼びますが、牛革に関してはカーフと呼ばれるもの、キップと呼ばれるものなど、大きく分けて5種類の呼び方をされる原皮が存在します。
一般的に月齢が若い方が革が薄くて柔らかく、繊維がきめ細かくなります。
月齢が進むとともに、革が厚くなり、繊維も粗大に。銀面も(革の表面)の模様であるシワが粗くなったり、血管の跡やキズなどが増えていきます。
逸品の作製や購入をするなら、月齢の低い牛革を狙っていきたいところですね!
それでは実際に分類を見ていきましょう。
◆カーフ(CARF)
【月齢】生後6ヵ月以内の子牛
【性別】両方
【特徴】まだ小さい牛なので、革は薄くてきめ細かい銀面が特徴で傷も少ないです。牛皮の中では最高級とされる素材です。生後3ヵ月以内の子牛の革はベビーカーフと呼ばれます。
ちなみに、カーフはトラと呼ばれるシワの多い革になりがちです。
なぜなら、子牛なので、身体がまだ大きくなりきっていないために、皮が伸びていないからです。
カーフの印象としては、『肌がきめ細かくて滑らか』というので有名なので、トラ(シワ)が多いというのは意外に感じられることが多いみたいですね。
◆キップ(KIP)
【月齢】生後6ヵ月~2年以内の牛
【性別】両方
【特徴】カーフと比べてややきめは粗くなるが、革は厚くなっているので強度がついている。まだ成牛ではないため、キズも少なく銀面が美しいのが特徴。
◆ステア(STEER)
【月齢】生後2年以上
【性別】生後3~6ヵ月以内に去勢された牡牛
【特徴】生後2年以上は牛の体躯も大きくなっているため、革の面積が大きく、厚みが均一になっている。最も流通されている革。
◆カウ(COW)
【月齢】生後2年以上
【性別】出産経験のある牝牛
【特徴】牝牛ということもあってか、ステアよりもやわらかく薄手。ステア同様、革の面積が大きく、流通量は多い。
◆ブル(BULL)
【月齢】生後3年以上
【性別】牡牛
【特徴】繊維組織も粗く、厚手。また、気性や月齢の影響か、キズなどが目立つことがある。
例外として:ハラコ
ハラコと呼ばれる革も存在します。
生まれる前に亡くなってしまった牛の胎児や、出生後すぐになくなってしまった牛の革のことを言います。
希少価値が高いため、あまり市場には出回っていないみたいですね。高級品です。
市場で見るハラコと呼ばれている革は、実際にはカーフの革やポニーの毛革が多いみたいなので例外としました。
フェイクのハラコ革もあるため、目にすることもあるかもしれませんので、覚えておいて損はないかと思います。
ココがポイント
若い牛の方が革がやわらかく繊維がきめ細かいので質がいい!
もちろん金額は高めです。
「スキン」や「ハイド」とは
大別的に分けて読んでいる名称です。
スキンとは子牛の革を呼ぶ際に使われ、ハイドは成牛などの厚くて重たい大きな革を指します。
上で紹介した革の分類を、それぞれスキンとハイドで分けるとこうなります。
スキンと呼ばれる牛革
カーフスキン、キップスキン
ハイドと呼ばれる牛革
ステアハイド、カウハイド、ブルハイド
上記の通り、カーフはカーフスキンとも表現されます。
革を購入するときにカーフと書いてあったりカーフスキンと書いてあったりするので、「何が違うんだろう?」とならないように覚えておきましょう!
牛革の種類 まとめ
いかがでしたでしょうか。
レザークラフトをやるためには、牛革の種類はぜひ知っておきたいですね!
また、お店で革製品を買うときの参考にもなるかなと思います。
カーフスキンのお財布などが置いてあったら、牛革の中でも高級なので、ぜひ手に取って触れてみましょう!
(触る前に白い手袋を渡されるかもしれませんが・・・笑)
まとめ
- 市場に出回っている牛革は主に5種類に分類される。
- ハラコを含むと6種類(フェイク以外にはなかなか出会えない)
- 若い牛の方が革がやわらかく高級
- 月齢を重ねると革が厚くなりキズも増える
- スキンは月齢2年までの牛革
- ハイドは月齢2年以上の牛革
また、革は同じ個体から採取されたモノでも、部位によってその性質が変わります。
別記事で部位7種類の特徴も紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
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