先日、レザーソムリエの資格保持者が参加できる『工場見学会』に参加してきました。
見学会とはどんな感じなのか、その概要と、私なりの感想を書いてみたいと思います。
私自身、資格を取ってから初めて参加するイベントでしたのでちょっとドキドキ・・・。
結論としては、参加して良かったと思っています。
今後、参加を検討する方の参考になれば幸いです。
レザーソムリエの工場見学会とは?
レザーソムリエという資格があるのはご存じでしょうか?
実は、ワインのソムリエのように、革について詳しい人が取得できる資格があるのです。
レザーソムリエの資格とは
一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)、日本革類卸売事業協同組合(JLTA)が行っている資格制度で、年に1回資格試験が行われています。
まだ資格が作られてから数年ですが、2022年からレザーソムリエ(中級)も受験できるようになり、一層盛り上がりを見せている資格です。
資格試験のための無料講義も、年に数回開催されています。
以下の記事で、私が参加した時のことを書いてますので、興味のある方はご参考ください。
今回参加した工場見学会は、レザーソムリエ試験に合格した人だけが参加できるイベントです。
合格者には定期的にレザーニュースなどが届くのですが、ある時、見学会のお知らせが来ました。
見学会の概要
- 参加費:8,800円
- 開催場所:東京都墨田区
- 時間:10:00~15:00位
- 工場内の見学
- 著名人の講義
工場内の見学は、革のことをもっと知れる良い機会になりそう!ってことで参加です。
まずは『東京都立皮革技術センター』に集合
東京都墨田区に、東京都立皮革技術センターという施設があります。
参加者20名程が、まずはココに集合しました。
東京都立皮革技術センターでは、より良い皮革の製造に関する研究が行われているそうです。
こちらは午後に見学したので、記事の後半でご紹介しますね。
さて、集合してレザーソムリエの運営側から簡単なご挨拶。
それが終わったら早速、革の染色を行っている工場へ移動することになります。
工場は、東京都立皮革技術センターから歩いて3分くらいのところにありました。
こちらが、その革の染色工場『T.M.Y’s co.,Ltd,_LEATHER LAB TOKYO』です。
右手には、浄水槽システムが「ドドン!」と設置されていました。
『綺麗な色に染めるには綺麗な水から』ということみたいです。
また、染色に使う化学薬品が公害を及ぼさないよう、最近の法令に遵守した、最先端の設備も。
地面の下には大きな排水層があるそうで、上水道に有害物質がまざらないよう対策されています。
いよいよ工場内を見学
さて、ここで20名は2班に分かれました。
10名に対して工場の方が1人付き、中を案内していただきます。
こちらの工場では、普段も完全予約制で工場見学会を行っているようです。
「なんだ、レザーソムリエじゃなくても見ることは出来るのか・・・」と、少し残念。
と思う反面、施設案内が非常に慣れた様子だったので、説明はとても親切で分かりやすかった!
中を見学する時間は、約1時間30分ほど。
ひとつひとつの設備について、その用途や使い方を詳しく説明してくれます。
時間はけっこう余裕があるので、質問し放題な感じでしたよ。
革を染色したり、型押しする作業風景は、これまで映像では見たことありました。
でも、やっぱり実際に見ると違いますね。迫力も臨場感も肌で感じることができました。
説明を受けると、作業にかかる時間や、1つの革が染め上がるまでの手間なども良く分かります。
工場の設備も大変なものですし、ひとつの革が出来上がるまでの苦労が伝わります。
工場内には、お洒落なショールームとラウンジも有りました。
ショールームには、実に多彩なスエードの革などが飾ってあり、見応えありますよ。
見学会の詳しい内容や説明などは、残念ながらここで書くことはできませんので、気になる方は、ぜひ工場見学に参加してみてくださいね。
工場見学が終わったらお昼休憩
工場見学が終わり、東京都立皮革技術センターへ戻ります。
セミナールームで1時間のお昼休憩です。
お昼は、運営側で用意してくれるとのことで、どんなのが出るのかちょっとワクワク。
机には、何やら『黒い木目調のお弁当箱』が。
(マジでどうでも良いかもしれませんが)
中身はこんな感じ!
カフェレスト「にぃど・だもぉれ」。浅草の浅草寺の裏にあるお店のようです。
味は、けっこう美味しかったです!
量がそこそこあったので時間は掛かりましたが・・・完食!(ごちそうさまでした)
休憩時間中に館内散策
まだ休憩時間は残っているので、ちょっと館内を散策してみました。
建物に入ってすぐの展示コーナーに、めずらしい革がいくつか置いてありましたよ。
こちらは牛タンの革。
そしてこちらは、魚のアロワナの革。
センザンコウの革もありました。
初めて見るものは興味をそそられますね。
しかし、なめしの技術はすごいですね。
この展示コーナーだけでも、結構楽しめた感じがします。
東京都立皮革技術センター内を見学
さて、お昼休憩も終わり、東京都立皮革技術センターの見学会がスタートしました。
初めに20分程度のDVD鑑賞。
内容は、革は食の副産物でとってもエコなんだよ~とか、皮から革にするための作業とか。
「これは我々レザーソムリエにとっては、既知の内容じゃないか?」と、思いながら鑑賞。
一応、この後に見る皮革技術センター内の設備と照らし合わせることが出来るので、DVDを見てからの方が吸収率が高くなって良かったかもしれないけど・・・正直、ちょっと眠かったです。
皮革技術センター内も、2班に分かれて見学会を行いました。
特に目を引くのは、やはり施設内のたくさんの機械と、研究所さながらの設備です。
なめしに使うドラムの側面が透明になっていて、中が見えるような仕様になってました。
ここも詳しくはご紹介できませんが、この施設は一般の方でも見れるそうですよ。
他にも展示室などがあり、様々な革を実施に触ってみたりすることができます。
実際に人食いの罪を犯したワニの1枚革なども展示されていて、なかなかの迫力でした。
私が特に勉強になったと思ったのは、この半分だけグレージング加工されたワニ革です。
研磨された方は茶色くてピカピカになっていて、とても綺麗です。
実際に触るとより違いが分かりますが、グレージングされた方はとってもツルツルです。
このワニ革は、グレージングマシンという機械で、半分だけ研磨されています。
グレージングマシンとは
先端に付いているガラス玉やメノウを、すごい勢いで革の銀面に擦りつけて磨く機械。
近くで見てるだけでケガしそうなくらい、けっこう危なめな機械です。
アーム先端のガラス玉を写したかったのですが、あまりにも早い動きなのでブレてます(汗)
職人技が無いと綺麗な革にならないそうで、最近は使える人が少ないそうですよ。
吉村 圭司氏による皮革講義
工場内の見学が終わって、一度セミナールームへ戻ります。
最後に、古代からカワが使われている理由や、革の特性や特徴についての講義です。
講師は、皮革業界では著名な吉村 圭司氏です。
『吉村 圭司 革』で検索すると、日本エコレザーとか色々ヒットします。
講義の内容は、詳細かつトレンドも多く含む、とても有意義なものでした。
最近、古代人がカワの加工に使っていた骨器も見つかったそうです。
おなじみ『アイスマンが革をまとっていた』という話も、研究者目線で聞くことができました。
講義を受けたことで、革に対しての視点が拡がり、興味がより深まった感じがします。
レザーソムリエの工場見学会|感想
以上、レザーソムリエの工場見学会の概要でした。
情報の取り扱い上、ざっくりとした内容で恐縮ですが、少しでも参考になれば幸いです。
見学会に出席した感想としては「行って良かった」と思います。
参加費も掛かる上に、一般でも入場できる場所への見学なのは残念でしたが、貴重な講義を聞けたし、学べたことは多かったと思います。
ただ、過去にはこんな『レザークラフターなら誰でも知ってる企業』にも見学に行ってます。
過去の見学場所
- 株式会社 コロンブス
- 株式会社 栃木レザー
- 株式会社 山陽
次回あたり、また開催されないかなと期待しています。
レザーソムリエの見学会は、今のところ年に1回程度の開催のようです。
興味深い場所への見学なら、次回もまた参加してみたいと思いました!